介護医療院せいわ虐待防止マニュアル

高齢者虐待防止マニュアル
介護医療院せいわ

高齢者虐待の定義
「高齢者虐待防止法」では次の5つの行為の類型をもって「虐待」と定義しています。

1.身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加える事。
2.心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に
著しい心理的外傷を与える言動を行う事。
3.介護・世話の放任:高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、その他高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠る事。
4.性的虐待:高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為
をさせること。
5.経済的虐待:高齢者の財産を不当に処分する事その他の当該高齢者から不当に財産上の利益を得る事。

虐待の種類と内容と具体例
身体的虐待  暴力的行為によって身体に傷やアザ、痛みを与える行為や、外部と
接触させないようにする行為
●たたく、つねる、蹴る、やけどを負わせる、無理やり食事を口に
入れる
●ベッドに縛り付ける、意図的に薬を過剰に飲ませる  など
介護・世話の 放棄・放任
意図的であるか結果的であるかにかかわらず、介護や生活の世話を
行っている家族が、介護や世話を放棄する行為
●長時間の空腹状態、脱水症状、栄養失調の状態にある
●おむつを放置する、劣悪な状態や住環境の中に放置する  など
心理的虐待   脅しや侮辱の言葉、威圧的な態度、無視、嫌がらせなど、精神的・
情緒的に苦痛を与える行為
●排泄などの失敗を嘲笑したり、人前で話したりして恥をかかせる
●怒鳴る、ののしる、悪口を言う、意図的に無視する など
性的虐待    本人との合意が無く性的な行為を行ったり、強要したりする行為
●懲罰的に下半身を裸にして放置する
●キス・性器への接触、セックスを強要する など
経済的虐待  本人の合意なしに財産や金銭を使用したり、本人が望む金銭の使用
を理由なく制限する行為
●本人のお金を必要な額渡さない、使わせない
●本人の不動産、年金、預貯金などを本人の意思・利益に反して使用する
など

虐待発見時の対応
○虐待もしくは虐待が疑われる事案を発見した場合には、まずは各部署の責任者へ報告し、
その後、速やかに管理者等に報告する。その後、虐待を行っている(行った)職員やその他の職員への聞き取りを行い、虐待の事実を確認する。
○虐待の発生後「被害者である利用者」「虐待を行った者」双方への視点を持って対応する
ことが必要です。
○生命と身体の安全を十分に確保した上で落ち着きを取り戻すための支援、もしくは一日
も早く安心した生活を取り戻すために必要な取り組みを行なうことが重要です。
○施設、事業所においては、虐待発生時もしくは、疑いのあるケースを発見した場合には
速やかに誠意ある対応や説明を行い、利用者や家族に十分に配慮する事。またプライバシー保護を大前提としながらも、対外的な説明責任を果たすことも必要となります。さらに発生要因を十分に調査、分析するとともに、再発防止に向けて、組織体制の強化、職員の意識啓発等について、一層の徹底を具体的に図ることが不可欠となります。
○施設、事業所の職員が虐待を行った場合には、家庭生活上の不安や、職場における人間関係等のトラブル、さらには、日々の業務に対する過剰感等が虐待に至る要因として考えられます。これらの状況について日常的に把握できるような環境や仕組みを整えるとともに、発生後はその他の職員の状況に改めて配慮する取り組みを進めます。
○市町村には、利用者・家族への事実確認や職員への聞き取り調査の結果から「虐待の疑いがあると判断した段階で通報(又は報告)。施設内での解決が図られたとしても、市町村への連絡は必要。
○生命と身体の安全を十分に確保した上で落ち着きを取り戻すための支援、もしくは一日も早く安心した生活を取り戻すために必要な取り組みを行なうことが重要です。
○施設、事業所の職員が虐待を行った場合には、家庭生活上の不安や、職場における人間関係等のトラブル、さらには、日々の業務に対する過剰感等が虐待に至る要因として考えられます。これらの状況について日常的に把握できるような環境や仕組みを整えるとともに、発生後はその他の職員の状況に改めて配慮する取り組みを進めます。

適切なケアを実現することが虐待防止
虐待防止の難しさは、分かりにくさと深刻さであり、分かりにくさは誤解や混乱を生み、深刻さは、見て見ぬふりや問題の先送りにつながります。行為だけで虐待を定義することは容易ではなく、虐待はそれを受ける利用者の思いが一番大切です。利用者、家族が主体となったサービスを提供し、虐待であろうとなかろうと、“不快”“悲しい”“いろいろ事情がある”“これは誤解だ”“これくらいは仕方がない”などの日常のケアを振り返ることが、虐待を防止することに繋がります。

虐待防止委員会の設置
 虐待防止委員会を設置し、高齢者虐待の未然防止に取り組む。また虐待に係る相談を行うとともに、虐待が疑われる事案が発生した場合は委員会を中心に事案の検証と再発防止に取り組む。
○虐待防止のための計画づくり
 院内研修による啓発
 虐待防止マニュアルの整備と周知
○虐待(不適切な対応事例)発生後の検証と再発防止策の検討
 虐待やその疑いのある不適切な対応事例が発生した場合、事案を検証の上、再発防止策を検討し実行に移す。

通報者の保護
公益通報者保護法に基づき、職員が法人内部で法令違反行為が生じ、または生じようとしている旨を法人内部、行政機関、事務所外部に対して所定の要件を満たして公益通報を行った場合、通報者は保護される。

虐待者・役職者の処分
◯処分に当たっては、就業規則等に基づいて行う。
◯処分を受けた職員に対しては、虐待防止や職業倫理等に関する教育を義務付ける。

虐待発見時の対応フロー
虐待を受けたと思われる高齢者を発見
虐待を受けた高齢者
        ↓相談・報告
院長・総師長・師長・介護長
(事実関係の確認)
 →→→
報告
市町村

         ↓報告                      
虐待防止委員会
(事例の検証・再発防止策の検討と実施)

2024年06月22日